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4-03.戦果報告
2008 / 06 / 01 ( Sun ) 翌日、S本部長がすぅっと俺の席に寄ってきて、 「どうでした昨日は?」 「はぁ、駄目でした。本当にできるもんなんですかあれって?」 「できますよそれは。まだまだ人間がわかってないねぇ君は」 人間性全てを否定するかような言い方である。たかがヘルス嬢を口説くだけのことが、えらい大きな話になってきた。ちょっと悔しくなって質問をしてみた。 「本部長はどうだったんですか?」 しかし、これは相手の思う壺だった。S本部長はきょきょろと辺りをうかがうと、前屈みに俺の耳に口を寄せてワルな口調で言うのだった。 「へっ、2発ヤってやった」 そうだった。このおじさんはこの種の話になると突然キャラが変わるんだった。 勝ち誇ったように去ってゆくその背中を見ながら俺は返す言葉もなかった。 時が過ぎて昼休み。喫煙ルームで食後の一服をしていると上司Mが入ってきた。俺の前にどっかと腰を下ろし、はちきれそうな腹を包んだズボンのポケットから窮屈そうにしてハイライトを取り出した。火をつけながら俺の方を見てにやにや笑い始める。 「聞いたぞ。駄目だったんだって?」 その笑い方が気にくわない。突っかかるように問いかける。 「でも、できるもんなんですかねぇ、全然信じられないですよ」 「簡単だろうあんなもの、お前よっぽど下手なんだな」 言いたい放題だよもう。俺は素直に敗北を認めて部下としてのサービスにいそしむことにした。 「で、Mさんはどうだったんですか?」 「そりゃお前、当然ヤッたに決まってるだろ」 「相手は綺麗な娘でした?」 「モデル並だったな、あの店じゃ一番じゃないかな」 元来が負けず嫌いなのだ。押さえておけばいいのに子供のように意地を張る。この人に耐えている俺は本当に人間ができているなと思う。 上司のパワハラに内なるナルシズムで対抗しながら俺は最後の質問を投げかけた。 「で、戦果はどうだったんですか?S本部長は2発やったなんて言ってましたけど」 するとMは、上を向いて煙をふぅっと勢い良く吐いた。そしてこちらを見て一言。 「俺は3発だったけどね」 やっぱりここでも張り合うのかよ。 |
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